皆様は、もしご自分の会社が傾いたらどうなるか、想像したことはあるでしょうか。
私自身は、(会社が傾くかもしれないという話はあったものの)今まで休業にまで追い込まれた経験がない故に、「大手企業が倒産の危機に・・・!」なんて報道があっても、正直「ふーん」としか感じたことがありませんでした。
しかも、私が働いている業界が比較的安定している(と言われている)上、そもそも正社員という時点でほぼ安定という固定観念もあり、ほぼ完全に舐めてしまった事さえあります。
ところが、家族が船エンジンの中子(中空の鋳物を作る時の砂型)メーカーで働いていますが、その家族がなんと休業にまで追い込まれて、職場も潰れるかどうかも分からない状態となってしまいました。
あまりにも身近すぎてショックでしたので、今回は会社を辞めようか迷っている方に向けて、
1.もし会社が休業になるとどうなるか(実際に家族に起きていた事象)
2.仕事選びで注意していただきたいこと
についてお話ししたいと思います。
結論からですが、業績が傾かないという面で見れば、需要が不安定な業界+下請けだとより危ないと考えますので、本記事の最後にて詳しく解説します。
仕事がなくなるとどうなる?
悪夢は、取引先からの発注停止から
家族は中小企業で船舶部品の中子メーカー勤務ですが、まず何が原因だったかといいますと、8月頃から大手のエンジンメーカーからの発注が止まり出したことです。
もっと言いますと、やはり新型肺炎の流行が関係しています。
以上が原因で、2021年現在の10月から休業することになりました。
そもそも自動車業界は景気に敏感で、何らかの災害があると工場停止に追い込まれることさえあり得ます。
しかも、家族が働いている会社が下請け(大手メーカーからの注文によって、砂型を製造して納品している)で働いているので、なおさら職場の経営がガタつきやすい状態です。(下請けだと、景気とは別に、発注者にも左右されるため)
ですから、10月以降少なくとも2か月は休業することになりました。
終わりが見えない
まずは、いつ再び働けるようになるか分からないことです。
前の「発注停止」の項目でもお話ししましたが、“最低でも”2か月の休業です。(一応、11月下旬現在にて仕事が再開しました。)
ですから、いつ取引先からの発注が戻るか分からない状態ですし、私自身は職場が中小なのでもしかしたら倒産までするのでは、と感じました。
あと、お金の面だけでなく気持ち面にまで悪影響が出てしまったようで、私は数日に1回家族と電話で雑談していますが、休業が決まった後日、話し方が普段より少し覇気が無くなっていましたね。
この休業が例えば5か月間と分かっていればいいですが、とにかく終わりが見えないとなると、いよいよ絶望しかなくなると思います。
幸い、私は既に社会人で自分で生計をたてられていますし、家族は共働きですので稼いだ給料はほぼ本人自身のものになっているでしょう。
ところがもし私がまだ学生だったら、それこそ本当に家計がギリギリ(あるいはマイナス)になっていたでしょうし、想像するだけでゾッとしました。
収入が2割も低下
あとは、収入が2割も減少しました。
一応、働けなくても雇用保険+会社からの休業手当等は支給されますが、それでも今までの8割(雇用保険6割+会社からの手当2割)しか払われません。
しかも、収入が2割減るというのは少ないように見えるかもしれませんが、意外と大きいです。
どのくらいかといいますと、例えば月収20万円だとすると16万円にまで低下します。もはや生活保護レベルより少し良い程度です・・・
しかも私の家族の場合、普段の月給が大体18万円くらいだと言っていましたので、そこから2割差し引くと14万円強・・・、もし共働きではなくて一人暮らしだったら、(生活水準にもよりますが)もらった収入が消し飛ぶどころか赤字になりかけますね。
一応、休業手当である2割の部分のみが課税対象(“給与所得”のため)のようで、手取りとしては13万円くらい残るようですが、それでも家族は「安すぎ、今までみたいに働いた方がよっぽど稼げる」と愚痴っていました。
暇にはなるが、何もできない
最後は、暇な時間は増えるが、とにかく何もできないことです。
当然ながら、出勤しなくてよい(というより出勤できない)ので、1日中自由となります。
毎日が実質土日のようなものですから何だか羨ましいような感じがするでしょう。
ところが、家族曰く「ずっと家の中にいるのが苦痛」とのことです。
何よりも、店やその他施設に行こうにも、当時は新型肺炎の予防のために極力入店を避けなければなりませんでした。
あとは失業手当受給中でしたので、アルバイトで収入を足そうにも、一定条件を満たさないとアルバイトが認められません。
ですから、必然的に家に居るしかなくなるとのことです。
となると、何か月も“無の時間”を過ごすことになるのがストレスになるそうです。
家族本人も、
・「最初の数日はよいが、何週間も何か月も続くと逆に苦痛になる」
・「ニートとか1日中何もない人は、良く耐えられるなと思った」
と言っていました。
補足ですが、あまりにも退屈だったので、自宅のペンキ塗りまで終わらせてしまったそうです。
終わりに:私が考える会社選びで気を付けたいこと
以上色々とお話ししてきましたが、最後に、会社を辞めようか迷っている方に向けて、私が考える会社を選ぶ際に気を付けていただきたい点について解説していきたいと思います。
まず避けたい業界ですが、今回の輸送機器の部品メーカーのように、景気に対して不安定な業界だと考えます。しかも、下請けだとさらに危ないと考えます。
絶対に入るなとは言いませんが、不安定な業界に入社する以上は、特に急な事態については想定していただきたいです。
さらに今回の家族の話を聞く限り、少なくとも下請けにはできるだけ入らない方がよく、理由は下請けであるほど儲けが少なくなり、業績が赤字になる可能性も高くなるからです。
ちなみに家族の話によると、今の会社は薄給かつ毎月必ず土曜出勤がある上、正社員だろうとパートと同じくらいの給料しか払われないようです。
「社長がケチだから」と愚痴っていましたが、私は社長よりも業界の構造上そうするしかないだろうと感じましたね。
ではどのような業界がよりよいかですが、避けたい業界の反対で、需要が比較的安定している業界だと考えます。
例えば、私が勤務している建設コンサルのように、公的機関が顧客である業界が挙げられます。
まず、取引先が国や地方自治体メインなので、民間企業と違って倒産リスクが基本的にないですし、こういう公的機関は水道や橋梁などの公共インフラを扱っていて、定期的にメンテナンスしなければならないため、どちらかというと常に外部への設計等の発注があるので、建設コンサルは比較的安定だと思います。
実際に建設コンサルで働いていますが、少なくともここ1年を振り返る限り、色んな自治体から毎月のように仕事が舞い込んでいましたから。
もちろん、絶対に休業も解雇もないとは言えませんが、安定性という面では外れは少ないでしょう。
以上のことから、できる限り需要が安定している業界に入ることが、会社が傾くリスクをより抑える上で必要な対策だと考えます。
それでは、今回は以上となります。