現在、私の家族に下請けの砂型メーカーの町工場で働いているパート社員がいます。
その家族と数日に1回程度電話で雑談しているのですが、今働いている町工場はもう~他の社員が正社員なのにパート並みに買い叩かれているわ、土曜出勤は毎月あるわ、いろいろ散々だった、とのことです・・・
しかも、現在話題の新型肺炎が流行したせいで、なんと会社が潰れかけたこともあるようです。詳しくは後述で解説しますが、下記リンクでも解説しておりますので、ぜひご覧いただければ幸いです。
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もちろん、砂型メーカー業界でもまともな会社は中にはあるでしょう。ただ、私の家族は他の町工場でも働いたことがありますが、やはり夏が非常に暑い、社長がケチで徹底的に吸い取られるなど、似たような目に遭ったようです。
ですから家族の話を聞く限り、工場は工場でもあまりにも会社が小さいとブラックになりやすいことが伺えます。
という事で今回は、下請けの中小メーカーにて生き地獄に遭ってきたパート社員の実態について解説していきましょう。
ちなみに、私の家族には町工場だけでなく派遣社員としての経験もあります。下記記事にて派遣社員の地獄さについても紹介していますので、もしよろしければご覧いただければ幸いです。
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※なお、本記事は個人の事例についてを記したものであり、すべての中小メーカーが同様の労働環境になっていることを示すものではありません。
そもそもどんな仕事?
まずは、家族が働いていた砂型メーカーではどんな仕事をやっていたかについて、簡単に解説したいと思います。
家族が働いていた会社は、中空の鋳物を作るときにその空洞を作るための「中子」という砂でできた型を製造する会社です。
そして、その会社は大手エンジンメーカーの下請け会社で、製造した中子を発注者であるエンジンメーカーに納品する、といった事業をしています。
私の家族の場合、その中子をひたすら作っていくという作業をしています。
この話を聞くだけだと、
・「なぁんだ、簡単な作業じゃん?」
・「そもそも工場勤務って、いつも定時帰りで楽じゃないの?」
という意見もありそうですが、次の項目より、地獄だった仕事の実情について解説していきます。
【町工場はやめとけ】中小メーカー工場勤務はここが地獄だ
正社員の給料がパート並み
まず予想外だったのは、正社員だろうと給料がパート並みしかなかったところです。
しかも、その正社員はおじさんです!新卒の若手ではありません。
具体的には、パートも正社員も月給が大体18万円くらいしかないとのことです。家族も「安っーーーーーーい!!」と愚痴っていました。
一応、正社員であればボーナスはもらえますが、それでも基本給の1か月分ちょっとしかもらえません。
私自身は当初、パートの立場なので月給が少なくても仕方ないと思っていましたが、正社員ですら月に18万円くらいしかもらえないと聞いて、少し予想外でした。
私自身、話を聞いただけで、まず月給が20万円下回っている時点で安月給だと感じましたね。
何しろ、その安月給に課税されて更に手のこりが減りますので、もし一人暮らしだったら生活が怪しいでしょうし、正社員なのに責任だけ重くて給料がパート並みなんて、正直数か月で辞めたくなりますね。
しかも、後述のように土曜出勤もあるわけですから、時給で考えると尚更買い叩かれる計算です。パートよりもクビになりにくいだけマシです。
ちなみに、冗談半分で家族に「マネージャーになれば給料が上がるんじゃないの?」と問いかけたところ、管理の立場(マネージャー等)に昇進することは事実上ないとのことです。
そもそも会社自体が従業員を昇進させようとしないようで、マネージャー社員がいないとのことです。
ですから、ずっと安月給で我慢するしかないようです・・・
土曜出勤
二つ目は、私の家族の場合、土曜出勤があることです。
個人的な思いですが、ただでさえ週末は秒速で過ぎ去っていくのに、その週末の半分が仕事のための時間とは何なのかね、と思う次第です。
学校で例えると、土曜日が一日中部活のようなものですね。
私自身も、職場の休みの日が120日を下回っていますし、月によっては土曜出勤させられますので、かなり共感できます。
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しかも私の家族ですと、「月によって」ではなく、毎月必ず1回土曜出勤があるそうです。
そして、金曜日の夜にも電話で雑談することがありますが、
・「いいねぇ、今週は君が土曜が休みで~」
・「明日も仕事なんだよねぇ」
とよく愚痴られます。
私ですら、(土曜日が休みの週もあるにもかかわらず)あまり休んだ気がしないのに、私の家族はもはや気持ち面で働き詰めでしょう。
何より、私は年間休日が115日程度で、家族は(毎月1回土曜出勤なので)108日くらいしかないですから。
ハトの糞がキモい
三つ目は、ハトの糞が落ちてきてキモいことです。
そもそも機械から出る煙を排出するために工場の屋根が常に空いていますが、その空いている屋根からハトが侵入してきます。
そして、ハトが作業場に糞をまき散らしてきますが、とにかく気持ち悪いです。
まず四方八方がハトの糞だらけで非常に不潔になり、とある作業用デスクが布を被せてあるようですが、布を被せ忘れると怒られるそうです。理由は、もちろん糞の被害を防ぐためです。
あと、落ちてきた糞が(雑菌が繁殖したのか)非常に臭いようですし、酷い場合ですと糞の中に寄生虫のような虫が混ざっていることもあったそうです・・・
ですから、天井にいるハトばかり気になってしまい、製造の作業どころではないとのことです。
ちなみに私自身は、職場が鳥の糞まみれになるなんて、聞いているだけで吐き気を催しかけましたね。まず入社試験か何かで現場に立ち入った瞬間、即刻辞退を決心するでしょう。
会社が潰れかける
四つ目は、会社が潰れかけたことがあることです。
原因は、2021年現在の8月頃から、大手のエンジンメーカーからの発注が止まったからのようです。
幸い、再び発注されるようになり会社も復活したそうですが、当時は休業まですることになり、いつ働けるようになるか分からない状態が続きました。
もはや、当時は「終わりがない状態」だったようですね。
しかも、一応給料+失業手当で収入自体はあったものの、収入が生活保護程度しかありませんでした。
家族も、
・「働いた方がよっぽど稼げる」
・「残業できる君の会社が羨ましいよ」
などと愚痴っていました。
ここまでお話しすると、「働かずに金だけもらえるなんて、羨ましい!」という声もありそうですが、こういう何もできない状態だと、逆に苦痛とのことです。
アルバイトしようにも、失業手当受給中のため一定の条件でないと認められない上(あるいは不正受給になる)、店に行こうにも、当時は新型肺炎の予防の関係であまり頻繁には出入りできません。
ですから、家にずっとこもることになったそうです。家族は、
・「何週間も何か月も家にこもっていたら、逆に飽きる」
・「ニートとか無職は、よく何年も家に引きこもっていられるね」
なんて愚痴っていました。
確かに、いつ元の生活に戻れるか分からない状態で何も出来なかったら、想像するだけで精神崩壊しそうですし。
機械が爆発する
最後に、なんと機械の爆発までありました。
家族の話によると、いつも通り作業をしていた時、突然「バン!」という音が工場内に響いたそうです。
音源から結構遠くで作業していたのに、ビックリするくらいよく聴こえていて、振り向いて見ると機械が爆発していて、煙が発生しているそうでした。
そして、その機械を操作していた男性社員が、なんと吹き飛ばされたそうです。
しかも、その男性社員は鼓膜まで破いてしまったようです。
個人的な感想ですが、ショックでしたね。
機械が爆発して社員がケガするなんて、職場の安全管理体制に非常に疑問を感じます。
最後に:働くなら、景気に関係なく需要がある+下請けでない仕事を
家族が働いていたメーカーについて、色々と実態を解説していきましたが、最後に以上の話から学んだことについて解説したいと思います。
まず、“会社が傾かない”という観点で見る限り、車やエンジンなど輸送機器のメーカーは避けた方がよさそうです。
しかも、今回のように下請け会社だと尚更危ないと感じております。
理由は、まず輸送機器だと景気に左右されやすいですし(最近話題の新型肺炎流行など)、さらに下請け会社だと、景気とは別に発注者の意向にまで左右される上、業界の構造上ピンハネされるので、会社規模も中小止まりになりやすいからです。
今回の事例ですと、会社が潰れかけたので身近でも感じました。
ではどういう業界が潰れにくいかですが、私はやはり不景気だろうと需要がある+下請けでない業界だと思います。
例えば、私が働いている建設コンサルが潰れにくい業界だと考えています。
まず取引先が自治体なので、取引先の業績悪化は考えにくいですし、頼まれる仕事も水道や道路などのインフラの設計なので、景気が悪くても発注はあるでしょう。(インフラは老朽化するので定期的なメンテナンスが必要)
さらに下請け云々に関しても、(厳密には顧客から設計を任されるので“下請け”と似ていますが)逆に下請けをさせる立場です。
受けた案件のうち、重要でない部分に関しては別の会社に代わりにこなしてもらっています。
ですから、例えば取引先が官公庁+下請けでない業界が、潰れにくい業界の一つだと考えます。
ただし、こういう官公庁が取引先の業界のデメリットですが、文化が昭和体質(紙ハンコ文化など)である印象なので、想定はしていただきたいです。
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余談ですが、私は新卒就活で、憧れで輸送機器のメーカー勤務を志望していたことがあります。
研究職もあるので格好良さそうでしたし、ゼミもどちらかというとロボットや機械寄りの分野でしたので、ゼミの経験が活かせそうだったからです。
しかし今回の件から考えると、安易に輸送機器メーカーに入ろうとしていた自分が無知だったと反省している次第です。
それでは、今回は以上となります。