ネットを見てみるとよく、
・「会社を辞めてよかった」
・「自由が待っている」
なんて意見が見られます。
ところが、私としては、(完全に否定するべきではありませんが)鵜呑みにはするべきではないと思います。
確かに、私も前の会社を辞めたところ、その会社にいた嫌な人とは完全に別れることができましたし、今私が属している業界の特性も身体が分かってきているなど、色々メリットはありました。
しかし、デメリットもそれなりに存在します。
あくまで一例ですが、より小規模で休日が年に120日もない会社に転職してしまいましたし、何よりも2年未満で辞めたので、その分だけ転職に不利になりました。
関連記事:仕事辞めなきゃよかったと思った点、2年未満で辞めた人が解説
そもそも、「会社を辞める」に限らず(不変の真理を除いて)完璧な情報というのは存在しませんし、それぞれ状況や目的が違うので、全員が全員会社を辞めても幸せになるとは限りません。
その上、たいていの場合は、記事の最後に転職エージェントへのアフィリエイトリンクがありそのエージェントを使うよう唆してくるため、なおさら惑わされてはいけないと感じました。
ですから、「会社を辞めてよかった~♪」という意見に騙されないために、今回は本記事を読んで下さっている方々に注意していただきたいことについて詳しく解説していきましょう。
騙されないために気を付けてほしい点
会社を辞めるデメリットを把握
まずは、今の会社を辞めるデメリットを把握することです。
ご存じのように、会社を辞めるとそれなりのリスクが付きまといます。
例えば、面接が受かりにくくなる可能性がありますし、経歴に傷が付きます。
そして、それらのリスクも個人の事情によって左右され、一番大きいのは現時点での能力や勤続年数、そして年齢でしょう。
私の場合、当時の懸念点は、面接に自信がなかったことと経験・スキルです。
まず、「よし、今回はスラスラ話せたし、合格になってもおかしくないな!」と思いきや、後日お祈りの電話がかかってくることが多々ありました。しかも、大手とか有名な会社ではなくて、そこら辺のちっぽけな会社なのに平気で落ちました。
さらに、前の会社を2年も勤めずに辞めたという事実もある上、経験もスキルも脱初心者程度だったので、足かせになっていましたし気持ち的にも恥ずかしくて面接で話しにくかったです。
こういう状態で、面接に行ってはお祈りされる、というのを繰り返してきたので、「もう一生ニートになるのか・・・」と思っていました。(一応、転職活動を始めてから数か月で内定は得られました)
ですから、まずは良いところばかりではなくて、自分にとってのリスクにも目を向けなければなりません。
転職エージェントを登録するよう勧めてくる記事が多い
次は、会社を辞めるメリットを強調する情報に限って、転職エージェントを使うよう誘導してくることが多いことです。
少なくとも私が今まで検索してきた限り、転職エージェントを使わせてくる記事が多かったですね。
といっても、私も転職の情報発信者なので他人のことは言えませんが、なぜ会社を辞めることを勧めるかというと、大体は最終的に転職エージェントを使わせたいからだと考えられます。
要するに、転職エージェントに登録してもらえればそのサイトの運営者に紹介料が入るから、登録を唆してきます。
転職エージェントの広告掲載が即座に悪とは言えませんが、中には本当に紹介料のみを目的とするサイト運営者もいるので注意が必要です。
もう少し深堀しますと、
「転職したら幸せになった」
→「この転職エージェントを使ったら幸せになった」
→「だからここ(転職エージェントのリンク先)に登録してね」
という流れの記事があった場合、本当に「そういう事例もあるんだな」程度に留めるべきだと考えましょう。
転職先が自分に合うとは限らない
3つ目は、転職できたとしても、次の職場が自分にとって合うとは限らないことです。
確かに会社を辞めると、それまでいた嫌いな人間とは完全に別れられますし、一時的に学校同然の労働ともお別れできますが、本当に“一時的に”です。
「会社を辞めて幸せになった」とは言っても、次の仕事がありますし「幸せに“働けている”」かどうかは別です。
例えば私なんて、会社を辞めたところ、まさに今までいたウザくて嫌いな上司は居なくなりましたし、転職活動中は会社からお休みも頂いたので、その期間だけながらフリーな毎日でした。
ところが次の転職先は、前の会社よりも待遇が悪くて、何よりも酷かったのが年間休日が120日もないことと、リモートワークを一度もやっていないことです。
あわせて読みたい:ホワイトな仕事に就くには、年間休日が最低でも120日は必要である理由!
ですから、会社を辞めた時の一時的な幸福だけではなく、次の転職先でも(それもできれば何年も先でも)幸せなのかについて目を向けなければいけません。
発信者がなぜ会社を辞めても問題なかったのか、その背景
4つ目は、「会社を辞めて良かった」と主張する発信者が、なぜ会社を辞めても何とかなったのかについて、背景を知らなければならないことです。
冒頭と似ていますが、会社を辞めても絶対に何とかなるとは限りません。
それぞれ条件とか事情が違うからです。
例えば、スキルが超ハイスペックで年も20代と若ければ、今までの職場を辞めてもすぐに別の職場(それも凄い待遇で)が見つかるでしょう。
ところが、数か月で会社を辞める、というのを何回も繰り返したり、あまりにも高齢すぎたりすると、再就職はかなり厳しいでしょう。
(あくまで個人の事例ですが)私の場合も、2年未満と自称短期離職ですが、それでも1年と半年以上は働いたわけですし、当時の年齢も20代前半でした。
ですから、先ほどの条件のおかげで転職活動を始めてから3か月以内で内定が得られたと考えております。
参考記事:【実体験】短期離職しても人生終わりではなかった理由(最後に注意点)
ネット上の記事も同じで、その記事の掲載者に何らかの転職に有利な(あるいはそこまで不利ではない)条件があったからこそ、退職しても何とかなったと思われます。
したがって、「なぜ転職に成功できたのか」を意識しながらネットの記事を読むことをお勧めします。
そもそも転職する必要はあるかを把握
最後は、そもそも転職する必要はあるかどうかを把握することです。
何しろ、転職と言うのは、あくまで自分にとって好きな働き方に出会うための「手段」でしかありません。
例えばもし、超ブラック労働で一歩間違えると病気になりかねない、あるいは危険な作業で自分の生命や身体が危ういのであれば、すぐに辞めるべきでしょう。
ところが、転職しなくても目的が達成できるのであれば、わざわざそういうリスクのある行為をする必要がありません。
・・・といっても転職せずに自分の意志で変えられる要素(会社の社風、部署異動など)なんてそこまで多くは考えられませんが、例えば収入が増やしたいのであれば、出世もそうですが、資格取得や副業も考えられます。
資格取得であれば、出世とは違って完全に自分の意志で取得して資格手当が付けられますし、そういう手当も毎月固定で受け取れることが多いです。
ちなみに、私が働いていた会社ですと資格によっては月額3~6万円も出ますので、そこそこ大きいです。
副業については、アルバイトではなく事業であれば、収入が(理論上)青天井ですし、それで生計を立てているわけではないので、元手がそこまで要らない事業(サイト運営、業務委託など)であれば、儲からなくても基本的に経済難にはなりません。
ですから、今の職場をやめるという話より、自分がどういう働き方に出会いたいかを把握することの方が重要です。
最後に:転職=絶対悪ではないが、鵜呑みがNG
ということで色々お話ししてきましたが、一言でまとめると「鵜呑みはNG」です。
転職は必ずしも悪ではないですが、問題なのは自分にとってその選択肢が合っているかどうかです。
他人は幸せでも、自分の場合は具体的にどうなるか、どういうリスクを背負うことになるかを言語化レベルで明確にしながら検討しないと、「騙された!」ということになりかねません。
しかも、そもそも転職と言うのは「手段」ですので、会社を辞めずに幸せになる方法もなくはないです。
ですから、くれぐれも「思考停止での」退職は避けていただきたいと思います。
今回は以上となります。