私の家族に、過去にしつこい在職強要を受けてきた人が居ます。
後ほどでもお話ししますが、退職しようとした当時は、
・何度も「なんで辞めるの!?」と尋問される
・個室で、上司から何度も「辞めないで!」と引き止められる
・時には上司から泣きつかれる
といったことまであったそうです。
そして、精神論のようで恐縮ですが、私の家族はとにかく「辞めます」と意思を曲げずに会社側に伝えたことで、ようやく辞めさせてもらうことができました。
ただ、この「辞めます」という強い意思表示と言うのは、もしかしたら状況によって効果左右されると思いますので、私が考えるより確実な対処法についてもお話ししていきたいと思います。
今回は、
・在職強要に遭った家族の話
・引き止めに遭った時の対処法
・やってはいけない対処法
の構成で解説していきますので、もし退職トラブルに遭遇されている方にとって参考となれば幸いです。
在職強要してきた職場での体験談
当時の職場の状況
まずは当時の状況ですが、うろ覚えのところもあって恐縮ですが、
・今から10年ほど前の出来事
・地方の中小企業
・基盤の部品をはんだ付けする仕事
・パート社員
・勤務時間は一日8時間程度(ただし、8時間以下にすることもできる)
・出勤日数は週に5日で、土日祝日休み
でした。
当時は、他のパート社員に比べてトップクラスで仕事ができる人でもあったようで、会社からは優秀社員として崇められたこともあります。
特に、はんだ付けするスピードが速く、はんだ付けした基盤の枚数が1位になったこともあり、それによって給料も少しだけ上がったと言っていました。
ところが、この「優秀」というのが、退職の引き止めに拍車をかける要因の一つになっていました。
なお補足ですが、この家族は正社員ではなかったものの多数の転職経歴があり、現在は砂型メーカーの町工場でパート社員として働いています。
この町工場の地獄な実態については下記記事にて解説しておりますので、参考となれば幸いです。
参考記事:町工場は底辺??中小下請けメーカー勤務が地獄だった話
辞めようとした理由
優秀社員として崇められた家族ですが、とあることに気が付くのです。
当時は、パート社員でまずボーナスがありませんでした。しかも、正社員並みかそれ以上に仕事を頑張っても、給料がほとんど変わらないと言うのです。
何しろ、はんだ付けがトップクラスだったのですよ?多少なりともそれに見合う見返りがあってもよいかと思いますね。
正確には、前述のように給料が多少増えたようですが、ほんの少ししか上がっていないと言っていました。
そして、責任のようなものだけはパート社員に丸投げされまして、例えば、はんだ付けした基盤を客先に納品する上で、客先から「不良品が出た」とクレームが出ようものなら、なぜかはんだ付けしていたパート社員が「どういうことだ!!」と詰められるのでした。
という経緯で、より待遇のよい会社に行くべく、だんだんと当時の職場に嫌気が差してきたわけです。
パートと言うと、給料は低くても正社員よりはまったりなイメージがありますが、家族曰く、仕事だけ正社員以上にきつくて給料だけ低いと言っていましたし、パート(に限らず非正規)はもはやロボットのような働き方と言っていましたね。
(ある程度の収入を得るため)労働時間も1日8時間契約でしたし、バカバカしくなっても仕方ありません。
しつこい引き止めの実態
職場に嫌気が差してついに辞めようとした家族でしたが、引き留めがとにかく酷かったそうです。
まず、「辞めます」と告げようものなら、上司からしきりに「なんで辞めるの!?」「せめて来月まで続ければどうなの!?」などと尋問されたそうですね。
それも、一回ではなくて何度もあったとのことです。
あとは、終業後に帰ろうとしたところ、上司に待ち伏せされて「どうなの?」「会社は本当に辞めないの??」というような感じで問い詰められていました。
しかも、個室にまで連れていかれて、何としてでも会社に残ってもらおうと上司が説得してきたこともあります。
酷い場合だと、上司が泣きついてきたこともあったそうですね。体まで掴まれて、とにかく「お願いだから会社に残って!!」と嘆願してきたこともあります。
最終的には、ついに癇癪を起こして、上司に対して「辞めると言ってるじゃないですか!!日本語が分からないのですか!!」と言い放ったそうです。
まあ、当時は家族が稼ぎ頭の一人だったというのもありますし、何としてでも辞めないで欲しいという気持ちもわからなくないですが、個人的にはさすがに在職強要でパワハラな感じがしますね。
実際に家族も「さすがにパワハラだろう」と言っていましたから。
ちなみに、後述のように相手に押し負けることなく、とにかく「辞めます」と主張したことで、最終的に退職することができたそうです。
退職の引き止めがしつこい時にやって欲しいこと2選
手早い方法:毅然として辞める意思を伝える
すぐにできそうな方法として、毅然とした態度でとにかく「辞めます」と主張することだと考えます。
ただ、この「辞めます」という主張に関しては、状況によっては効かないこともあると思いますので、後の項目にてより確実であろう方法について紹介します。
先ほどもお話ししましたが、家族は上司に押し負けることなく、ひたすら「辞めます」と伝えることで最終的に辞めることができたそうです。
「なんで辞めるの??」などと理由を聞かれると思いますが、家族の話によると、下手に理由を告げずに「とにかく辞めます」と伝えることが大切だそうです。
私の考えですが、理由を教えてしまうと、「えーと、その・・・」といったようにはっきりと意思を伝えにくくなる上、相手による尋問を長引かせて最終的に流されることもあるからです。
訪問販売で、「なんで契約したくないの?」と聞かれて「高いから」などと答えてしまうと今度は別のプランに契約させられるのと同じで、尋問がかえって長引いてしまって、最終的に相手に誘導させられる恐れがあります。
ですからすぐに実行できる方法として、下手に理由を伝えることなく、断固として「辞めます」と伝えることが重要かと思います。
より確実な方法:弁護士に相談
あまりにも在職強要がしつこい場合、費用が掛かってしまいますが、より確実な方法は弁護士と相談することだと考えます。
これは、しつこい在職強要に限らず別の労働問題でも使えるでしょう。
法律のプロなのでよりドンピシャなアドバイスをしてくれますし、何よりも職場とつながりのない人と相談できますので、グルになることは原則あり得ません。
下記記事でも弁護士に相談するメリットについて解説しておりますので、もしよろしければ参考となれば幸いです。
関連記事:何時間も説教、怒鳴る・蹴る、今まで遭遇してきたクズ上司と対処法
別件で、私も弁護士と相談したことがありますが、まず思った以上に私の見方になってくれて、「あなたにも問題があるんじゃないの?」というような主張がなかったです。
過去の裁判事例も出して「裁判事例によると、今のような○○(その行為の強要)は無効になる」と教えてくれましたし、的確すぎてびっくりしました。
一方、職場の人で特にさらに上の上司に相談しても、私の経験上グルになりやすいです。
上の上司ではなくて人事であれば寄り添ってくれることもありますが、それでも問題の上司をかばうような主張をする可能性もなくはないです。
これも別件で恐縮ですが、私も上の上司に相談しても「俺だって散々怒鳴られたからお前も我慢しろ」的なことを言われて終わりだったことがあります。
ところが社外の人であれば、職場との関係は基本的にはありませんので、相談することをお勧めします。
それも弁護士の方がよく、相談料は30分5000円程度(ただし初回無料の場合も多い)と費用は掛かりますが、知識が深くて鋭いアドバイスをしてくれますので、在職強要があまりにも酷い場合、ぜひとも弁護士との相談をおすすめします。
死んでもやってはいけないこと
バックレる
次に、絶対にやって欲しくない事ですが、まずはバックレる(無断で会社を辞めること)ことです。
個人的にはもってのほかで、可能性は低いそうですが損害賠償請求をされないとは限りません。
ただ、極め付きは懲戒解雇で、法律的には2週間以上無断欠勤すると解雇ができるそうなので、もしその解雇が「懲戒解雇」だった場合、転職活動に不利になります。
というより、個人的には人生終了レベルだと思います。
だって、自分が会社の社長で誰かを雇おうとしたとき、懲戒解雇された人が応募してきたらどう思うかって話ですよ?
怖すぎてとても雇えたものではないでしょう。
ですから、(ブラックの安っぽい会社を除いて)少なくとも正社員としては、恐らくどこも二度と入社自体ができなくなると思います。
「でも隠せばいいじゃん」という意見もありそうですが、退職理由を聞かれたり離職票・退職証明書を提出させられたりすると正直に教えなければならないですし、もし面接の段階で隠し通せたとしても、よほど上手くはぐらかせなければ、話が不自然になってバレるかもしれません。
したがって、バックレだけは絶対に避けていただきたいです。
相手の意志に押し負ける
前述と似ているところがありますが、もう一つは、相手の意志に押し負けることです。
理由は単純で、相手の言いなりになるからです。
「でも、つい相手に流されてしまう」「Yesと言えば相手が喜んでくれる」と思ってしまいがちですが、相手に流されたら最後です。
確かに、その場だけならやり過ごせるでしょうけれど、後々自分にとって不利益だろうと相手に操られてしまいかねません。
それこそ、ひたすら断固として「辞めます」と主張したほうがよいと思います。
と言うのも、前述のように私の家族がそのように主張したことで、最終的に在職強要を振り切ることができたからです。
訪問販売で、その場しのぎのために契約してしまうと後々ぼったくられる(ことが多い)のと同じで、相手に言われるがままではなく、強い意志で主張することが大切だと思います。
最後に
ということで、体験談から見る在職強要への対策法についてでした。
とにかく、まずはひたすら「辞めます」と主張する事がポイントだと思います。
慣れるまでは大変でしょうけれど、その場限りで相手に従おうとすると、結局は相手の言いなりになってしまうからです。
あとは、どうしても引き留めがしつこい場合は、弁護士に相談することもありです。
何よりも職場とのつながりがありませんし、知識が深くて豊富なので、私の場合だと本当にびっくりするくらい的確なアドバイスをもらうことができました。
なお、上記の手法は退職トラブルに限らず別の分野でも応用できると感じておりまして、例えば訪問販売であれば、ひたすら「要りません」と主張するべきですし、しつこすぎるようであれば警察か消費者センターといった窓口にも相談できます。
ということで今回は以上となります。退職トラブルに遭われている方にとって参考となれば幸いです。